2010年5月13日木曜日

スパイのためのハンドブック

●概要
あなたはスパイに適しているか? スパイ養成の方法は? 金銭問題や異性問題にはどう対処するか? 引退後の生活は?――著者のロッツは元スパイ。イスラ エルの情報部員としての波瀾にとんだ経験をもとに、豊富なエピソードを盛込み自己採点テストを加えて、世界で初めてのスパイ養成本


●内容
○情報部員に必要な人間
・情報部員は生まれついての冒険家である
・情報部員は嘘の大名人でなければならない
・しなければならないことをしない勇気の持ち主。人の事を口出ししない、子供や子犬を虐待しているモノにちょっかいを出さない人は最高得点
・都合により法律を敗れる人。法律を破らない人はバカ
・軽犯罪法にも用心深く避けれる人間
・酒を多く飲めること。酒飲みは酒飲みしか信用しない


○情報部員に向かない人物
要注意人物は世直しを望むような徹底的な理想主義者。与えられた任務を大きくはみだす、または騎士道に則るものには用はない


○情報部員の適齢
25~35歳


○高い地位に登れない情報部員
通常任務を超えて絶対に行動しない人


○情報部が候補に接触するタイミング
彼らは私に近づく時期を完璧に見計らい、心理的に見て調度良い時を選んで動きに出る


○情報部員の種類1(密告者)
彼らは自国内で働き、主として本国政府の防諜部によって用いられる


○情報部員の種類2(敵国籍密告者)
スティンガーとも呼ばれる。彼らも自分の国に住んでいるが、外国の組織のために情報を収集する


○情報部員の種類3(二重スパイ)
相手の工作員を密かに抱き込む。敵側の工作員を捕らえると、彼を転向させようとするのは、殆どの国の情報部で標準的な慣行である


○情報部員の種類4(特殊工作員)
特殊任務の遂行に派遣され、任務完了と同時に基地に帰還する経験豊かな、行動な能力を持った工作員


○情報部員の種類5(駐在工作員)
継続的に敵国に常駐する。自分で社交界等に出席し情報源を開拓し、育てななければならない


○拘束後の自白
囚われの身になったスパイが沈黙を守り通し、尋問者に何も話さなかったという話は、尋問の係官がいい加減な仕事をしない限り、全く虚構の世界に属する出来事である


○拘束後の暴露を防止する手段
「区画の整理」
人間はどんな圧力を加えられてそれに耐えることになろうとも、自分の知らないことは言えない


○尾行の種類1(公然とする尾行)
少しも自分を隠そうとせず、目標を近距離に保ってついていくことである。対象者を秘密活動に従事するのを妨げるのに役立つ


○尾行の種類2(隠れて行う尾行)
目標につけられていることに全く気づかれてはいけない


○スパイに最も必要な才能
幸運な出来事を考えうる最大の自身の利益に転換する才能。これの体得を望まない人は良い情報部員になれない
誰にでも訪れる幸運を逃さないことが肝心である


○偽装とは
任務継続中に用いる身元である。この第二の皮膚に身を包まなければならない。役にはまりきらなければならない。


◯ニセ経歴
偽装の基礎となる一部分あるいは全体が捏造された経歴


○偽装のポイント
・ニセ経歴に基づいていること
・偽装はあなたの外見に合わされるべきものであり、逆はない
・偽装に利用した人物の外見だけでなく、性格的特徴、性癖も考慮しなければならない
・あなたが資格を持っていない専門職、肩書あるいは生業を用いるな
・生活様式が偽装に完全に適合していなければならない
・ニセ経歴が出来る限り真実に近くする
・情報工作している国の法律や規律を最新の注意を払って遵守する
・仮に軽犯罪で逮捕されても、小さな犯罪を認め大きな犯罪を隠せ


◯情報部員のタイプ1
注意を引かぬ特徴もない凡人


◯情報部員のタイプ2
目立つ人で、脚光を浴びていなければ落ち着かないといった外交的な性格の持ち主。逆に工作員とは思われにくい


◯いかなる犠牲を払っても任務を遂行せよ
というのは、この目的のためにはいくらでも必要なだけの金を使っても良い権限を与えられたこと


◯駐在工作員の夫人
夫人は同行あるいは合流する前に、情報部からある程度の教育を受ける


◯情報部員の給料
秘密情報部員という職業は最も高給取りの部類に入ると思われがちだが見当違いである
情報部は給料とか現地工作員の経費を慢性的に出し惜しみすることで悪名高い


◯情報部がボーナスを出すとき
連中が大した理由もなく金をポンポン出すときは警戒を固める時なのである。こういう時に決まって汚い仕事が待っている


◯見習い情報部員を辞めさせない方法
辞めるという見習いは多いため、彼らは予防処置を開発した。それは金銭的に破滅させる方法である


◯贈収賄の呼び方
祝儀、心づけ、報酬、据え置きローン、功績に対する謝礼、友人への支援


◯その人の値段
大抵の人には正札がぶら下がっている。その人に適した賄賂を送るべきである


◯賄賂の必要性
雇用者は賄賂なしでやってもらいたいが、それは不可能である。
取引先が雑魚であろうと地位の高い人であろうと、寄せ餌をばらまくことは良いことである


◯賄賂のポイント
極端な手段は極端な場合でのみ用いるべきである


◯研修時と逮捕後の話
逮捕されたところで大して恐ろしいことは身に降りかからないとたかをくくっている情報部員は、身の安全という点でいい加減になり易い。そういうわけで、研修生は逮捕とその余波という題目についてはほとんど話してもらえない
敵側を軽んじ、偽物の安心感を獲得することは、神経過敏になって肩越しに振り返り、ありもしない危険を感ずる習慣と同じくらい危険である


◯尋問の種類
アラブ、アフリカ、中南米では拷問が常套
共産国では科学的な洗脳法及び薬物を好む
西側諸国も尋問に出る検査官は法律に縛られないから要注意


○ダメな尋問
尋問者がかっとしてしまい、捕虜を相手に鬱憤晴らしをしようなどということになれば、しまいには血まみれの参上になるが情報はほとんど得られない


○尋問事例1
まったく無関係な囚人を連れてきて目の前で残酷な拷問を受けさせる


○尋問事例2
情報を得るのに必要とみなされた程度まで行われ、欲しい情報を入手したと考えると全ての強制は止み、丁重に扱われ、思いやりさえ示された


○尋問の目的1(政治的自白を目的とするもの)
反政府活動をしたかどうかはまったく関係なく、尋問者は彼のいけにえが全く無実であることを熟知しているが、どんな手段を用いても自白書に署名させることが尋問官の任務である
この場合、助けを借りずにペンを握れるうちに相手の求める自白書に署名してしまうのが最良の策である


○尋問の目的2(スパイからの情報入手)
尋問官の目的は本物の情報の入手である。話すこともできなくなるほど痛めつけられない
尋問官は全てを知っているというが、これは仮に殴ってくればくるほど、彼らが知っていることは少ない
この場合に陥った場合、大きな嘘に小さな真実を混入し、ほんの少しの真実を提供して相手に確かめさせ、それを手の込んだ嘘で飾り立て、違った方向に導く
その巧妙な嘘は彼らは自分たちが賢いと有頂天になり、大きな嘘に行き着かない


○寝返り
情報部は寝返った場合に常に備えており、寝返ったこと、さらに敵側に何をしているかを味方側に知らせる方法が予めいくつか手配されている


◯刑務所とは
刑務所とは魅惑的な場所である。それぞれが自身一つの世界を形成し、独自のルールと支配者を持った社会である。刑務所の管理当局が実際上の支配者である場合は稀である。当局が定めた規則は、牢明主グループが押し付け厳重に実施する規則により大きくとって変わられる


◯牢名主
当局から対した干渉を受けずに、事実上刑務所を運営している少数の収容者グループ


◯監禁場所の種類(拘置所)
囚人が裁判を受けたり、刑を宣告されるに先立ち、短時間とどめおかれる拘留の場所
スパイの場合、地下牢に閉じ込められ、ろくな食事も与えられず、何ヶ月も辛い尋問を受ける可能性が高い
できるだけ早く有罪の判決を出させて、通常の刑務所か懲治監に送ってもらうのが最良である


◯監禁場所の種類(刑務所)
リラックスした雰囲気のもと短期刑あるいは中期刑を勤め上げる。通常、刑務所当局は何事も平穏無事に保とうと努める


◯監禁場所の種類(懲治監)
15年から無期懲役を勤め上げる。囚人は脱獄のことしか考えていない


◯刑務所での身の置き方
早々と牢名主グループに賄賂を渡し仲良くなっておく。また看守等にも賄賂を贈る。そうすればある程度の自由が効き、望みも叶えてくれる
刑務所当局のいう「良きふるまい」など一文の価値もなく、なんの役にも立たない


◯入獄経験
入獄経験のないものは、文明国の行刑当局に勤務する全ての心理学者は言うに及ばず、囚人の心の動きを完全に理解することはできない


◯引退
満足な健康状態で引退できるスパイは相当運がいい。お金に困る人が多い。作者のように

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