2010年5月1日土曜日

グーグル・アマゾン化する社会


●概要

多様化、個人化、フラット化した世界で、なぜ一極集中が起きるのか?気鋭のジャーナリストが、ネット社会の矛盾に斬り込む。



●内容

○インターネットとは
世界中のコンピュータを接続する通信網全体

◯Webとは
インターネットの中で相互にファイルを交換しあえるシステム


◯アフェリエイト(アソシエイト)
ウェブサイトに企業のリンクを張り、ユーザーがそこを経由して商品を購入したりすると、サイトの管理者に報酬が支払われるシステム


◯ブロゴスフィア(ブログ圏)
常連の読者がいる集まり


◯タグ
欲しいデータをデータベースから引き出すための手がかり


◯「フラット化する世界」
世界は分散化し、現在の社会が情報によって平坦化しつつある。世界中の個人や企業が、等しく情報を扱うことが可能になった世界が到来した

さらに付け加えると巨大な一極集中とフラット化社会である


◯googleの理念
グーグルが検索結果で提示しようとしているのは「最大多数に対する最大関連性」


◯ティッピングポイント・収穫逓増
売れているものがメディアで取り上げられることで注目度を増し、さらに売れるというスパイラル現象


◯web2.0的な企業の条件
・パッケージソフトではなく、費用効果と拡張性の高いサービスを提供する
・独自性があり、同じものをつくることが難しいデータソースをコントロールする。それは利用者が増えるほど充実する
・ユーザーを信頼し、共同開発者として扱う
・集合知を利用する
・カスタマーセルフサービスを通じて、ロングテールを取り組む
・単一デバイスの枠を超えたソフトウェアを提供する
・軽量なインターフェース、開発モデル、ビジネスモデル


◯web2.0とは
ユーザー参加型であり、ユーザーが提供したデータに基づく「膨大なデータベース」によって構成されるサービス
ユーザー参加型というよりユーザー依存型


◯日記とブログの違い
・時系列で自動的に各ページを生成し、固定のURLを設定する。
・コメントやトラックバックを持つ


◯スケールフリー・ネットワーク
分散されながらも、自律的に拡大していくネットワーク


◯スケールフリー・ネットワークの特徴
1 成長がある ー 時間の推移に従って、結節点が増えていき、その結果根とワークが出来る
2 優先的選択が起きる ー 新しい結節点ができる際は、当然ながら古い結節点と結ばれる必要があるが、その際に新しい結節点はすでに多くのリンクを持っている古い結節点を優先的に選ぶ。そこ古い結節点は時間が経つごとに多くの結節点を獲得していく
3 魅力的な適応度があれば後発でもハブになれる


◯複雑な世界、単純な法則
製品の販路を拡大する簡単な方法の一つは製品を有名にすることだ
何かを選択する際、知名度を拠り所にするほうが楽なことは誰でも知っている


◯ヒットの流れ
最初に商品に飛びつくのは、ごく一部のマニアックな新しいもの好き。その次に、もう少しある程度感度の高い人が集まってきて、それが臨界点を超えると爆発的に売れる


◯主流感PR
消費者側にしてみると、広告のようなストレートな表現ではなく、ニュースとして接することでその商品の印象が強くなる。従ってその商品が主流であるように意識することになる


◯情報外部性
状況が曖昧で不透明なときには、周りと同じことを自分もすれば良いというのが支配的な考え方のようだ。これは考え方として合理的である


◯収穫逓増
ある一定の集合体が組織され、外的要因ではなく、内外的な要因によって力をつけていくプロセスを示したもの。何らかのきっかけでそのプロセスにうまく入り込み、ある臨界点を超えると、容易なことでは下降せず、一定の力を持ち続けられる


◯80対20の法則(パレートの法則)
収益の80%は社内の20%の人間によって生み出される

世界の80%の富は、20%の人によって生み出される


◯パーソナライゼーション
自分の希望に合わせて設定を変更し、自分が関心のある情報だけを効率良く吸い上げる。ウェブで無数に広がる情報を自分の興味に拠って絞り込んでいく


◯パーソナライズド検索
それまでの検索履歴から、ユーザーの思考に沿ったかたちで検索結果を導いていくれる検索


◯セマンティックウェブ
単語の持つ意味やコンテキスト(文脈)から情報検索を行うウェブ
かなり複雑で限定的な検索に対して適切な結果を返すことができる


◯セマンティックウェブの懸念
メタデータまでも含むほど情報量が膨大になった時、そこまで大量のデーターを保有するサイトは、ウィキペディアやアマゾンのような大きなサイトに絞り込まれてしまうのではないか


◯アマゾンの売れ方
アマゾンにおける13万位以下の書籍の売上が、全体1/3


◯ロングテールの弱点
あまり売れないロングテール商品を沢山持つと、在庫の値段がかかる。アマゾンやグーグルのようなスケーラビリティをもつサイトしか成功がない


◯パーソナライゼーションの弱点
見知らぬものとの出会い ー 偶然性による情報や人の発見が大幅に減る


◯集団分極化
情報はその特定の集団の中だけで偏って流通する


◯「みんなの意見」は案外正しい
集団が出す答えの平均値は正解に近く、その数値は任意の個人と比較した際、たいてい優っている


◯正しい集合知を得るための条件
1 意見の多様性(各人が私的情報を多少なりとも持っている)
2 独立性(他者の考えに左右されない)
3 分散性(身近な情報に特化し、それを利用できる)
4 集約性(個々人の判断を集約するシステム)


◯沈黙の螺旋
自分の意見が優勢と判断した人は声高に発言し、劣勢と認知した人は孤立を恐れ沈黙する。その結果、優勢意見はより勢いを増し、劣勢意見はますます少数意見になる


◯スノーボール調査法
調査対象に対して自分の親しい人にも同じ調査を依頼する

人間関係によって知識の共有が分断されていることがわかる(同じ意見の人ばかり周りに集まる)


◯検索結果に対するアプローチ
検索ページの結果に対して30項目以上見る人は全体の2%


◯現実社会での合意形成
対立する意見がある時、互いに合意点を見出そうとするのではなく、多様な意見を排し、自らの主張を正当化させる分極化の力学が働く傾向がある


◯サイバーカスケード
意見の急速な一極集中


◯合成の誤謬
マクロでは正しくとも、ミクロでは成立しない


◯主体ある思考は存在するか
本人がいかに周囲とは関係ない主体的な発想だと主張しても、とりわけウェブのような情報だけが流通するネットワーク空間においては、周囲との相互の影響を避けようがない
そうした情報の相互作用を常に意識していないと、大きなアーキテクチャーの中で自らも影響を受けていることに、無自覚になっていしまう


●まとめ
情報化社会の果ては一極集中だった

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